里志くんは私のことを少しだけど知っていると言った。
 吹奏楽部であることや、なんの楽器を吹いているかなど。
 うちの吹奏楽部は、朝は基本外で吹くので、朝練のときによく見かけるからだそうだ。
 私はそれを聞いて、ちょっと恥ずかしくなった。私は里志くんがすぐ後ろを通りかかっても分からなかったのに、里志くんは随分前から私に気付いていたということを知ったからだ。