「……さ、ありさ!」
「えっ」
 里志くんに名前を呼ばれ、私ははっと我に返った。
「ほら、帰るぞ」
 いつのまにか美里ちゃんはいなくなっていた。本当に、いつのまに……?
「ごめんな、ありさうるさくて。やっと追い払えたから」
「追い払うってそんな」
 私は苦笑した。そうだ、二人は兄妹なんだよ。確かに美里ちゃんはものすごく美人だけど、別に不安を感じる必要もないじゃない。
「どうする? このまま帰るか?」
「デザートが食べたい」
 里志くんの問いに、私は即答した。里志くんは安心した様に笑みをこぼした。
「そっか。何食べたい?」
「アイス!」
「いいよ。じゃ、コンビニでも行くか」
「うん! 今度は私が奢ったげる」
 ありがとう、と優しく微笑む里志くん。私はどきどき高鳴る心臓の音を紛らわす様に、里志くんの手を握った。
 そして二人で歩き出す。