お店を出ようと、私たちが席を立つと、偶然タイミングよく美里ちゃんが店の奥から出てきた。……本当に偶然かは怪しいところだけど。
　もちろん、美里ちゃんは私に話しかけてくる。
「あら、帰るの？　もっとゆっくりしていけばいいのに」
　その口調は、優しげな言葉とは裏はらに刺々しい。
「ありがとう。今日はもう……」
「次はいつ来るの？」
　私が言い終わる前に、美里ちゃんは里志くんに尋ねた。うう、やり辛いなあ。
「お前がいないときにする。だから安心しろ」
「だめっ！！」
　すごい剣幕で、美里ちゃんが叫ぶ。
「せめて私がいるときにして！　分かった？」
「なんでだよ……」
　里志くんは呆れた様に口を尖らせた。美里ちゃんも口を尖らせる。やっぱり双子だなと思い、私は思わず二人を見比べる。