「わー、すっごい美味しそうだね!」
 隣の席に運ばれてきた、出来たてのたこ焼きを見て、私は思わず声を上げた。
「だろ? 本当に美味いからな!」
「うん、楽しみ!」
 土曜日のお昼時。私——松本 ありさ(高校一年生)は、私の彼氏の里志くん(同じく高校一年生)と二人で、たこ焼き屋の端っこの席に座っている。
 このたこ焼き屋【アキヤマ】は、里志くんのおばあちゃんが経営しているお店だ。三階建ての自宅の一階で経営しているため、お世辞にも大きいとは言えないけど、味は天下一品だという。
 実際に、狭い店内は沢山のお客さんで賑わっていて、外には行列も出来ている。わざわざ隣町から来てくれる常連さんもいるらしい。