『早く 怒るなり毒を吐くなりして下さい。腰が痛くなる』


「頭を上げろ!」


恐る恐る頭を上げ怒ってる魔王の顔を見ると何か違和感を感じた。

シャープな顔立ちが怒り飽きれてるのは間違いないけど…。


野生動物の様な鋭い瞳はどこか淋しげに見える。


「はぁ‥。俺の名前は『池野匠』だ。
忘れるな!」


「はい。」


「仕事に戻っていいぞ。」

「はいっ?」


「おまえは耳も悪いのか?」


淋しい瞳が一瞬で戻った。


「す すみません。」


一礼して仕事に戻った。


今日も残業は免れそうもない。


深い溜息をつきPCに目を向けた。