黒羽の裏切り

ふぅ・・・



でもとりあえず、はやく仕事を始めないと・・・



ノルマも一応あるみたいだし。




ターゲットって・・・


どう決めるもんなの?






そう考えながらも、静かに深夜の都会の人ごみを見下ろした。






すると、自然と、さっきゼロと見ていたあのスーツケースを持った若い女の人に目が言った。




気づけば隣には若い男の人が立っていて、なにかうれしそうに二人で語り合っている。




すると、いきなり男の人が女の人を抱きしめた。





うわ・・・




恋人なんだろうな・・・

純粋にいいなと思ってしまう。





ほんとに、はたから見ても幸せオーラ全開だ。






・・・でも・・・




よく見ると、その男の人の発光している色は、


黒いに近い、もうほとんど黒といっていいほどのドス黒い色をしている。





これって・・・




ゼロが言ってたあの欲望の必要度のことだよね?




黒に近いってことは、そうとう欲望を必要としているんだろうな。






そう考えたとたんに、手のひらが何か光る気がした。













右手を見てみると、驚くことにあの紫の玉が光っている。