黒羽の裏切り

「俺らだって、好きでこんなの毎日やってると思ってんの?」







目を細め、こっちを上から静かに見つめるゼロの表情は、明らかに怒りに満ちていた。






「は?しらな・・



「お前がどんなにわめき散らしたって、逆らおうとしたって拒否権がないことくらいいい加減分かれよ。



あんたは悪魔なんだよ。



その目と、顔立ちと、オーラと、背中に生えた羽。



それが全部運命を定めてんの。





この世界ではな、人間の生と死の境界線を常にいったりきたりしてるんだよ。



お遊びだ?


ざけんな。



悪魔だって天使だって、霊界のやつらは全員、なにかの代償を払って自分のするべきことをしてんだよ。


お前と同じ、誰にも拒否権がない。


そんな中でお前のわがままにいちいち付き合ってる暇はない。」




それだけ言うと、ゼロは振り向いてまた飛んでいこうとする。





「とりあえず早く行くぞ、もうだいぶ時間つぶしたから。」



「え、ちょっと待って!行くってどこに!てか私がついていかなかったらどうするっていうの?

殺したりでもするわけ?


納得できたわけじゃないんだけど?」




危うくついていきそうになりながらも、必死でゼロの背中に問いかける。





また何かされそうで怖かったけど、やはり自分の意志は曲げたくなかった。



ちゃんと、説明してほしい。




ゼロを怒らせたくはなかったけど、そんな意思もなく動くなんて、奴隷みたいなこと・・・




できるわけがなかった。