仕方ないので、しっかり目をつぶり、ゼロの服をぎゅっとつかむ。









ゼロの羽の動きから、心地よい風が送られてくるが、そんなのを気にしている余裕もない。









「おい、そんなにしがみつくなよ、飛びづらい。」






「だって怖すぎるもん、いいから早くおろして。」





泣きそうになりながら訴えると、ますます上に上がっていっているのが分かる。








「あーもう分かったから、とりあえず屋上まで行くだけだし。」





え。




屋上??





急いで聞き返そうとすると、ゼロの羽の動きが収まったのが分かった。






「いいから、おろすぞ。手はなせ。」






後ろからだいぶぶっきらぼうな声が聞こえてくる。






恐る恐る目を開けると、目の前には地面があった。






そして服を離した瞬間どさっと地面に置かれる。







「ちょっとー・・もっとマシなおろしかたあるっしょ!しかもここどこ・・・」





周りを見渡すが、夜空とビルのてっぺんしか見えない。