急いで着替えを済ませ、部屋に戻ると、ゼロが窓枠に座って外を見ていた。








横顔が月に照らされて、とてつもなく神秘的な画になっている。





「えとー、準備、できたんだけど?」



数秒そのまま突っ立っていたのだが、向こうがあまりにも無反応なので、おそるおそる声をかけてみた。






「ああ、わりぃ。じゃあ、いくか。」





その綺麗な顔がこっちを振り向く。






一瞬見とれるが、ゼロが窓から離れ、外へととびだったので、急いで窓のほうへ走りよった。








「え、ちょっとまって!!行くってどこに?うちは飛んだりとかできないんだけど?」







必死で遠ざかってゆく後姿に呼びかけると、なんだかめんどくさそうな顔をしてこっちを振り向き、ゼロが窓のほうへ戻ってきた。







「え?あの夜、バーでサラに羽の出し方とか教わったんじゃないのかよ。」




「いや、そりゃ、羽の出し方はなんとなく教えてもらったけど・・・飛び方までは・・・」






「はああ・・・分かった。とりあえず教えるから、窓枠に足かけて。」







え?



ちょっと待って?



今なんていった?





窓枠?



足をかける?