「ぁ・・・・え・・だ・・・」
ようやく声を絞り出そうとすると、
「しー。とりあえずいいから着替えて。」
目の前にいる彼に手で口をふさがれ、またしてもその甘ったるい声に遮られた。
そういえば、まだお風呂上りだっけ。
あ、バスタオルがいつのまにかかけられてる。
そんなことをまだフルに動けていない頭で一生懸命考えているうちに、
やっと、自分が今、男子の前でタオル一枚しかまとっていないことに気づいた。
「・・・・・っ!」
恥ずかしさに体中が熱くなり、顔が赤くなるのがわかる。
タオルでよりいっそう体を覆い、すぐさま脱衣所へ逃げるようにして入る。
「え、何?まじで、何あれ・・!!てか、なんであの子、この家にいるの。鍵開いてたっけ?てかあの格好何。あの子も空を飛べるの?なんなの?めっちゃイケメンだし。」
そんなことを考えながらおぼつかない手で、なるべくはやく着替えを済ませる。
しかし、ドアに手をかけた瞬間、
「いや、待てよ。これはもしかしたらまた幻覚・・・いや、幻聴かもしれない。それとも・・・夢?それか・・・・また胡桃の嫌がらせのひとつ?」
