すると、後ろで小さくバサッと音がしたかと思うと、

ほんのちょっとだけ背中が軽くなった気がした。



都会の明かりを頼りにベランダの窓に映る自分の姿を見ると、羽はなくなっていた。





はあ・・・




よかった、ちゃんとしまえた・・・



後は窓を開けないと・・・






もしやと思って窓に手をかけるが、もちろん鍵がかかっている。





まじですか。







とりあえず大げさにため息をついてどうなかにはいろうと思っていたそのとき。




ルアにあの日教わったことを思い出した。




そうだ。


鍵に息を吹きかければそれが自動的に開くんだっけ。





とりあえずこのさいなんでもいいので、前と同じように鍵に近づき息を吹きかけた。





すると、カチャという音とともに、鍵が回る。






やった、さすが悪魔の魔力!




そんなくだらないことを思いながらもベランダのドアを、誰にも気づかれないように静かに開けた。