白い壁の続く廊下を歩いていくと、沢山の入院中の人たちとすれ違った。
その時のわたしは、まだ何も知らなくて、その人たちを見ても、何も思うこともなく、なにも感じることもなく。
ただ、居る。という当然のことを認識するだけで…。
少し歩くと、壁の上の方に、「談話室」と書かれたプレートが見えた。
そこに入ると広い空間が広がった。いくつものテーブルと椅子にはちらほらと人が座っている。
入院中の患者さんと、身内の人らしき人のペアが一番多く見えた。
楽しそうに話している人もいれば、深刻そうな顔をしている人もいる。
日中の日の光の差し込む談話室は、何だか、安心できるような、ほっとするような、不思議な気持ちになれた。
自動販売機のところに行ってオレンジジュースを買う。
小さい頃から大好きな、オレンジジュース。
───ガコンッッ───
ジュースが下に落ちた。
それからわたしはある重大なことに気付く。
…しゃがめなぃ……。
これは流石に、自分でも馬鹿したなぁ。と思った…。
どうしよう…
てか…あたしの120円ッッ!!
あぁ…、中学2年生の私には、120円は貴重だったのに…。
その時だった。
