ギロ、とガンをつける美形(のはずの)弟。ねえ何でねじ曲がったんだろう?どこがいけなかったんだろう?



「『にいちゃんばか弱い』とか『にいちゃんダサい』とか、いっぱい懐いてくれてたのになあ…。」


「兄貴はマゾだよな。筋金入りの。」

「菜月ちゃん今夜空いてる?もう悠斗なんかやめようぜ。」

「……お願いだから、暁の面子を汚さないでくれ。」



ちょ…そんな一家の恥みたいな言い方グサッとくるよぅ。




しくしく猫背になってうつむくと、不意に、本当に不意に菜月ちゃんが覗いてきた。

でも──なぜか、表情を一瞬凍らせる。



……?まじで一瞬。見間違いか?

そう疑うくらい、菜月ちゃんはすぐに笑顔になった。俺と目を合わせ、俺の肩に、ちょこんと指先だけ触れる。