ロマンチックに欠く女



翌日から、20分だけ日向の家に遊びに行くというのが俺の日課になってしまった。



「…先輩、20分経過しましたよ」



「うん、今日は30分粘るつもりだから。ちょっとこの3mの距離を保持してくれれば大丈夫だから」



「と言うより先輩、私の家に何しに来てるんですか?」



「日向に会いに来ています」



ソレ以外に理由はない。
密着するとどうしてもムラムラしちゃうからね。しかも俺、かなり禁欲生活+おあずけをくらっているから…男として理性を保てる自信がない。
だけど、彼女の家に訪問しなければ、この憎い長期の夏休みで彼女が俺の顔を忘れてしまうかもしれない。万が一、有り得ないと思うけど俺への愛が薄れてしまうかもしれない。それは何としてでも阻止しなければ。



「ではもう会いましたから用事は済みましたね。さようなら」



もう取り付く島もない。
だけど逆に甘い雰囲気になるよりはこちらの方が助かる場合もある事を俺は学習したよ。



「…そうだな。今日は日向の出してくれたお茶も飲めたし帰るかな…いずれはこの部屋の日向の香りにも慣れる………あ」



俺の失言に気付いた時にはもう遅かった。




「次からは最悪リビングまでしか通しません」



どうやら俺は、彼女の部屋の出入りを禁じられたようです。