不安になると言うことは、ラブ度がまだ足りないと言う事だ。つまり俺たちはもっとイチャつくべきなんだよ。
だからまずの手始めとして軽くキスしようと思ったのに。ちゃんと自制してホテルへ行こうって言うのは口に出さなかったのに。
「…居たら悪いんですか」
「居るのか!?」
珍しく俺が大声を出してしまった。あまり彼女の前ではみっともない事をしないよう心がけていたけれど、いやでもコレは仕方ないと思う。だってまさかあの病んでる英の回答が的中だなんて有り得ないんだけど。有り得て欲しくないんだけど。…ダメだ、どんどん俺の思考回路が腐ってきた。
しかし、目の前の彼女に意識を戻してみれば意外な事に彼女は笑っていた。…え?日向が笑ってる…?
「先輩でもそんな顔するんですね」
「え?今の日向から映る俺の顔ってどんな顔?カッコ良い?」
「いいえ、物凄く情けない顔です」
よし、絶対この顔は彼女の前では見せないようにしよう。
しかし今の問題はそこじゃない。むしろ今はそんな事どうでも良い。
「日向、その男子って誰か教えて」
「…先輩に教える義務はないと思うんですけど」


