「だってさ、お前考えても見ろよ」
英の言葉に用意していた拳をスッと下げる。どうやら一応俺の話は真面目に受け取ってもらえていたらしい。
「何で女子だと思うわけ?あの子ぐらいなら仲の良いのは男子かもしれねーだろ」
「いやまさか…ウチの日向に限って」
「いや、家の娘に限って…みたいに言われても。むしろそう考える方が自然じゃねーの?」
「俺と言う彼氏が居ながら?」
「お前だからこそ、って考えは存在しないのか?」
「……………」
いやいやいやいや、有り得ないよ。うん、有り得ない。だって日向でしょ?最近ラブラブ度が増してる俺達でしょ?余計に有り得ないよねー
だって俺達って世間から見れば“バカップル”の一歩手前みたいな感じだよね。英の感覚がおかしいだけでいつもジッと見つめられる日向の熱のこもった視線や、ありがとうと言う時の華やかさを醸し出すオーラは俺だけに向けられてるものだと思うんだ。
だけど何でだろう。
英に言われて極度の不安が過るのは――咄嗟に言い返せないのは――…何でなんだろう?


