「───今まで、どこにいたんだろう……」 「いろんな所を転々と」 独り言のつもりだった言葉に返事が返ってくるという事態にギョッとして遥をみると、大きな瞳がパッと開いた。 「キャッ」とあたしが声をあげるのと同時に遥の髪をなでていた手首が捕まえられる。 「タヌキ寝入りしてたの?」 「そんなすぐに寝れるわけないじゃん」 そう言って遥はクスクス笑う。 あたし完全にからかわれてる。年下に。 「……アンタやっぱ可愛くない」