数秒間ほど止まっていた時間がハッとしてやっと動き出した。 「名前なんていうの?」 あたしはウルサいくらいに鳴り響く心臓を無視して、冷静を装いながら煙草の煙をゆっくり吐き出す。 「遥」 「遥?女の子みたいな顔してると思ったけど、名前まで女の子みたいなんだ」 あたしがそう言うと遥はちょっと唇をとがらせた。 どうやら気にしてるらしい。 ほんと、可愛いやつ。 あたしはクスッと笑った。