さえは、まさかの声優デビューをした。
僕は信じられなかった。嬉しさでいっぱいだった。
そして、さえはついにアニメの声優の一人となり活躍することになった。
さえのお母さんがいうには
「記憶喪失になる前から夢だったから、それだけでも思い出させてなってもらおうって思ったの。だから、アニメを見させてた。そうしたら、なりたい!って言ってくれて。それでさえには練習をさせたのよ。それで、声優のオーディションに送ったら合格したのよ。」
と言っていた。
やっぱり、さえはすごいな。記憶喪失になっても、すごい才能がある。
本当は、さえのお祝いパーティをしたいところだが、今の状況じゃできるわけがない。
だから、遅くなると思うけど、記憶が戻ったときにしようかなって思っている。
その日がくればいいな・・・そう思いながら毎日過ごしていた。

ある日、さえのお母さんから電話がきた。
「さえの出演してるアニメ、知りたい?」
「はい。できるなら」
「さえが出演しているアニメは、毎週土曜日の午後5時からやってるから、見てみなさい」
「わかりました・・・って明日じゃないですか!?」
「そういうことになるわね(笑)」
「わかりました、絶対見ます」
「それじゃあ、またね」
「さようなら」
明日だったとは・・・。絶対に見たいと思った。

そして、ついにその日がきた。
僕は、午後5時になるのがまちどうしかった。
それまでの時間は結構ある。
今日は幸い部活がなかったため、アニメを見ることができたからいいが・・・。
暇だし、早くアニメ見たいしで辛かった。
そこで、僕はパソコンを開いてさえを検索してみた。
すると
「第20回、声優オーディション結果」
という文字が見えた。ということで今回が何回目かわからないけど、とりあえず見てみた。
そうすると、さえが載っていた。写真までばっちり載っていた。
ここまでになったとは・・・。すごく離れた感じがした。
その中で、「さえさんからのコメント」というのがあり、僕は見てみた。
「合格できて、とても嬉しいです。ここまで早くなれるなんて、すごく自分でもびっくりしています。私は記憶喪失になり、よく分からない事とかいっぱいあって迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします」
と書いてあった。
頭は悪い方かもしれないが、いいことを言ってるなーと思った。

そして、ついにこの時がきた・・・。

アニメを見ていると、さえっぽい声が聞こえた。
すごく嬉しかった。
最後のエンディングテーマのとき、「○○役 ○○」ていう中からさえを探した。そうしたら、さえの名前があった。
やっぱりあの声はさえだったんだ。そう思った。
嬉しかった。

それから1ヶ月がたったある日のことであった。
さえの信じられない記事が載っていたのだ。