彼女は涙していた。

窓からオレンジの夕日が照らし、頬をつたう彼女の涙はキラッと輝いていた。


…なぜ?

なぜ彼女は、泣いているのだろう。




「はーいっ。みんな注目!」

彼女が大声で言うと、騒がしかった教室は一気に静かになった。


相変わらず、すげぇな……。


俺は隣にいる彼女…春日雫をちらっ、と見た。

真剣にみんなに話しながら、春日はどんどん仕切っていく。


阿部知也…それが俺の名前。

クラスで春日と一緒に、委員長をしている。



「阿部! なにぼーっとしてるの? 説明して」

「あっ。……おう」



強気で、真面目で、元気な奴。

それが、ずっと春日の印象……だった。


彼女が泣いてるとこを目撃するまでは。


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