「伊織くん。」 特にすることもなく 友人たちの部活が終わるのを 待っていたある日の放課後。 「伊織くん。聞こえてる?」 僕の耳のイヤホンを片方 手で取りながら彼女は 僕に話しかけてきた。 「お、びっくりした。」 「ごめん。ね、帰る?」 「あー・・・」 遼平たちに、 帰りに寄りたいところがあるから 待っていてくれと頼まれてる そう言おうと思ったけれど 「なんで?」 僕に話しかけた理由を 聞いてからでも遅くない。