「ただいまぁー…。」
里香とは家の前で別れ、家の中に入る。
「姉ちゃんお帰り!」
「龍夜、今日部活は?」
お帰りと元気良く出てきたのは秋月龍夜。私の弟で中三。バスケ部に所属し、いつも帰ってくるのは遅いのに…。
「あー…今日ちょっとね。それよりさ!姉ちゃん俺金髪にしたいんだ!だから買い物付き合ってくれない?」
「はぁ!?金髪!?」
私は龍夜の発言に驚きを隠せなかった。
龍夜の髪は真っ黒でサラサラ。それに、学校での内申はとても良く、金髪にしたいなんて言う子ではなかった筈だが…。
「な?姉ちゃん頼むよ!」
パチンと両手を合わせ、でかい背を屈んで私の目線に合わせ、お願いされては可愛い弟の頼みを聞きたくなる。というか聞くしかない。
「しょうがないなぁ。いいよ、行こ。」
「やりぃ!ありがとね姉ちゃん!」
龍夜の笑顔を見ると私も笑顔になった。

