「なんなの!あいつ!」
高倉と共に帰らせようと企んでいた里香は不満げにいた。
「…どっちに怒ってるの…。」
「今回は高倉!千鶴と付き合ってるくせに何で他の女と帰るのよ!しかも山本ヒカルと!ありえないー!!」
「…私と付き合ってるのバレるのが嫌なのかもね。」
はぁとため息が出る。
山本さんが出てきた時の困った顔、私と付き合ってるって里香が言おうとした時に止めたこと。
そう思えざるおえない。
「ねぇ、総八にメールして呼びだしなよ!」
「……知らないもん。」
「はぁ?知らないのぉ?」
「うん…。」
高倉に一回メアドを教えてもらったことはある。
その時すごく嬉しくてすぐメールを送ろうとしたら
「水ぽっちゃんしちゃってデータ全部無くなっちゃったじゃない。」
「あぁあれか…私知ってるから教えようか?」
「いい…高倉に直接聞きたいから…。」
そんな返答をすれば呆れたため息が聞こえる。
呆れられるのはよくわかるけど何か里香から聞いたら負けたみたいで…。
「高倉はやっぱり私のことなんか…。」
好きじゃないんだよ。
そう口には出来なかった。
口にしてしまったら本当のことような感じがして。
目を伏せる私に里香は何も言わず、ただただ心配そうな顔をしていた。

