BRAVE～勇気～

「あれ？秋月さんじゃない～？」

ビクンッ

「あ、秋月！大丈夫か？」

高倉がこちらに向かってくる。
山本さんも一緒に。

「だ、大丈…。」

泣きそう。
目頭が熱い。
でも、高倉の前では泣きたくなかったので堪える。

「立てるか？」

高倉はそう言って、空いている方の手を私に差し出す。
きっといつまでも立たない私に立てなくなったのかと誤解をしたのだろう。

「あっ…だ、大丈夫だよ！ほらっ立てる！」

と言って私は急いで立った。
ちゃんと笑えてるかな…？

「秋月…。」
「あぁー居た居たー！もうどこ行ってたんだよ！探してたんだよ？」

高倉と龍夜の声が被った。

「まったく…買い物終わったから帰るよ！あれ？この人…。」
「誰こいつ？…お前秋月のなんだよ？」

高倉が龍夜を睨みながら、低い声で言う。
こんな高倉は初めてだ。
だからかな。高倉から今すぐ離れたくなった。

「俺？俺は「帰ろ龍夜。」
「え？」

龍夜の腕を取り、驚いた顔の龍夜を引っ張る。

「お、おいっ秋月…！」

高倉が引き止める声が聞こえたが、歩みは止めない。
だって、すごく泣きたくなっちゃって。
泣いてる顔なんて見られたくないもん。