「遅れてすみません」 思ってもないことを口にし、教室の後ろの扉を開くと、クラス中の視線が一気に私に向けられた。 「杏里ッ!!!」 悠莉は私の姿を捉えると、立ち上がって私に飛びついてきた。 「もう、今日は来ないかと思ったぁ~」 「うん…ごめんね…」 半泣きで抱きついてきた悠莉の頭をポンポンと撫でながら私は席についた。 教師は現国の優しい女教師だったから何も言われずにそのまま授業が再開された。