「よ、よかったぁ〜」

安心したようにリオが胸を撫で下ろす。

京は隣でニコニコしている青年にペコリと頭を下げた。

「どこの誰か知らないが、本当に助かった。ありがとう」

青年は相変わらずニコニコしたまま、ヘラヘラと首を横に振った。

「あ、気にしないでよ。君たちがオレの仲間だって気づいたから助けただけだし」

「仲間って……俺ら探偵じゃないぞ?」

京が首を傾げると、青年が笑いながら言った。

「いや、探偵ではないけど人を助けるような仕事してるだろ?例えば便利屋とかさ」

青年は二人の職業をピタリと言い当てた。

「……すげえな。さすがは探偵だ」

京が褒めると、青年は照れくさそうに笑った。

「いや、オレの場合は君たちが1-Bに行くあたりから観察してたからねー。あの人たち、ここの生徒じゃないなって」

「げ、バレてたのか?」

「まあねー。ぶっちゃけアレは素人でもわかっちゃうよー。多分あの学級委員の子達も気づいてたんじゃないかな?」

そう言うと青年は、思い出したように名刺を取り出した。

「改めまして、オレの名前は久保です!よろしくね」

渡された名刺には、『流星探偵事務所』と書かれている。
聞いたこともない名前だ。

久保は京とリオに力強い握手をすると、三人でゆっくり話をしないかと誘ってきた。

京とリオは顔を見合わせて一瞬悩んだが、彼なら小高と関根が消えたことについて詳しく知っているだろうという事で、三人で食事をすることにした。