「弟子……リオか……!?」

京の額から汗が落ちる。

「リオくんがなんだって!?」

久保が京の側に駆け寄る。

『ふっふふふふふ!!さあ、貴方の弟子はどこで何をしているんでしょうねえ!!それとも、もう……』

財前が言い終わる前に京が叫んだ。

「てめえ……リオに何かしたのか!!今リオはどこにいるんだ!!答えろ!!」

『おおっと怖い怖い。私はこれで失礼しますかねフフフフフ』

「待て……!リオはどこに……」

『では、ごきげんよ〜う』

ブチッという音と共に、財前の声が受話器から消えた。

「京くん……リオくんに何かあったのかい……?」

真っ青な顔で久保が聞く。
京は久保に受話器を渡すと、「今の番号を調べといてくれ!!」と叫んで部屋を飛び出した。

「調べといてって……オレは警察じゃないんだけど!!」

「じゃあ警察に連絡しとけ!!例の人消師から電話があったって!!」

京はそれだけ言うと、傘も差さずに外に飛び出していった。

雨は止むことなく、むしろ強まっているようにすら思えた。

「くっそリオの奴……一人で敵倒せるとでも思ってたのか……!?」

京は走りながら全神経を集中させてリオを探した。
雨で通行人が少ないおかげか、リオの居場所の特定に時間はかからなかった。

「あの建物だな……!!」

京はリオがいると思われる廃工場に近付くと、周りを警戒しながら中に入った。

大量の血が流れている。
血の筋を辿ると、リオが腹部を押さえた格好のまま倒れていた。

「リオ!」

慌てて駆け寄り、リオの身体を抱き抱える。
白いエプロンが血で染まっていた。

「おいリオ!返事しろ!!」

身体を揺すったが、リオは目を覚まさない。

「……ちっくしょう……」

京は拳で床を殴り付けた。