ただ、その一言が言えなくて。


ひとしきり春の夜空を堪能したところで、悠美の家に駆け込んだ。

ピンポーン

チャイムを鳴らしたら、反応が無くても入ってきていい。

それが、私と悠美の『普通』だ。


「おーじゃまーしまーす」

靴を揃えて家に上がる。

「美奈!待ってましたー!」


「本日は、チーズケーキよーん」

紅茶を注ぐ悠美の背中に話かける。

「いいね~私も作れるようになれたらいいのに~」

「無理無理、諦めなさい。君は生粋の不器用なんだから。」

「美奈ったらひどーい、まぁ、そのとおりなんだけど(笑)」

こんなことを普通に言い合えるのも、幼馴染みであり、親友の特権だ。

「あ、そうだ!」

悠美が何かを思い出して、話し始める。