父は帰っていたようだ。目を凝らし、よく見ると彼女の部屋のドアが少し開いているのに気づいた。そこからオレンジ色した、階段の電気の光がもれている。部屋の電気をつけテーブルを見ると、そこには赤のギンガムチェックの小さな紙袋、その隣には小さなメッセージカードが置いてあった。紙袋の中には小さな指輪と白いブレスレットが入っていて、メッセージカードには“メリークリスマス 父より”とあまり綺麗ではない文字で小さく真ん中に書いてあった。
父は必ず、このような記念日には菜奇や灸に何かを買い与えてくれていた。