菜奇は思い出す。友人に今日この話をした時に言われた言葉。

“今でも止めようと思えば、止めれるでしょ?”

友人は少しでも役に立とうと助言してくれたが、菜奇は無駄だと首を横に振った。なぜなら、離婚するということがほぼ確定しているからだ。
彼女は先日見てしまった。戸棚の奥にしまってあった、茶封筒。中には離婚届。
どっちについて行こうとかそんな考えより、この家庭そのものが消えることに不安を感じた。
勿論、二人は父も、母も大好きだから、あんな二人を見るのはもううんざりで、できるなら二人を前の仲のいい二人に戻したい。その思いだけは強かった。