「そーだよ。おれだって、小崎だって泣くよ。中学ってさ、小学校とはどう
しても違うけどさ、意地でも楽しいこと探してやるって頑張ったらへとへ
とに疲れるけどさ、小学校の仲間と遊んだらまた元気出るしさ、小崎を
使い倒せよ。こんなんでいいのかな、とかさ。俺も、小崎も悩んでたよ。
ずーっとそういうこと考えて、なんっか違う、なんっか違うって言ったとこ
ろでその何かがわかんねえし、すっげー不自然な感じだった。でも、た
ぶん誰にだってそういうこと思う時期があるんだよ。なんとかしたいって
あがきまくって考えまくって、そしたら絶対、よしこれだっていう答えが見
つかるよ。自分らしく生きるためにどうすればいいのかも、何がしたい
のかも、全部お前らの中にあるよ。自分の中を探せよ。おれは見つけ
出したよ。これぞってもんを。そしたら世界がいっぺんに楽しくなった。」

「……小崎先生って、なんで中学の先生にならなかったの?それだけい
ろんなこと考えてたなら、中学にいて語ればいいのに。」

「待ってるんだとさ。中学校行ったヤツらが、ちょくちょく遊びに来んのを。
ここに来て、懐かしいメンツと会ったり小さい子見てたりすると、なんとなーく悩むことがないような気がするはず、だとさ!テキトーだよなあ。」

「さっきから全然会話が噛み合ってないような気がするんだけど。」

「そうだよ。先生なんかテキトーだし、学校なんか本当に知りたいことは
なーんも教えてくれない。だからおれたちなんかは使い倒すだけにして
お前ら3人で一緒にあがいとけ。おれはそうやって小崎と一緒に育った」

「はあ……。」

「『はあ』じゃねーよ!おまえウチ来てもそういうこと何も言わなかった
じゃねーか!」

「だってたつやん、中学楽しそうだったし……」

「楽しいよ。俺は楽しいと思ってるよ。だけどちー坊は中学の話全然しな
いし、せーじは連絡もよこさないし何があったんだよって思うだろー。」