涙の温度




「ちゃんと聞いててよ。つか、もう聞いてんの嫌?嫌なら話して。真崎のこと、まだ聞いたことないから。」



そう言われて、体がぞくりと小さく震えた。


あたしが抱えている過去の異物が反応したんだろう。


背骨が抜かれたかのように前のめりになると、少し気が抜けた。



「俺に話せないことでもあんっ……、あーっ、もう!俺が聞かないって言ってたのに!!」



真面目そうな顔をして喋っていた深雪は、はっと気付くとすごい勢いで頭を抱えた。



「…今更、約束破るよーなこと言って、ごめん。でも話してくれるなら、俺は、聞きたい。」



いつものおちゃらけた深雪が真面目にそう、言った。


両親にだって……


……いや…?



…今まで生きてきた中でこんな状況は一度だってなかった。