「ねぇ、魁ー?この前、携帯調子悪いって言ってなかった?」


「あぁ、うん。たまに通じが悪いんだ?」


「見に行ってみる?」


「ううん、しばらくいーやぁ。」



残暑があって、まだまだ熱い日の差す昼下がり。


ひんやりと舌の上を滑っていく、アイス片手に綾と何でもない話を話して下る緩やか坂道。


これがみんなには普通、あたしにとっては、特別な一時。



「ぢゃあーっ、今日はだらだら寄り道DAYだね!」


「まぁ、これだけ暑けりゃだらだら寄り道になるわぁな?」


「あはっ、暑さヤバイからね!」



他愛もない会話が楽しくて嬉しくて、今までになかった『女の子』としての時間を過ごせる自分がまた幸せで。


最近のあたしは、何かと微笑んでばかりだったりする。