コンコン


ドアをノックする音



「どうぞ」


開いたスライドドアの向こう側にいたのはそう……

翔くんの部活のマネージャーさんだった。















「入らせてもらってもいい?」


「はい、どうぞ。」


「さくらちゃん…
だったよね?

私は、稲生 咲。
バドミントン部のマネージャーをしてるの。

今日はさくらちゃんにお願いがあってきたの。
翔を解放してあげてほしいの。」


「えっ………?」


「わからない?
アナタは翔のお荷物になる。
彼はこれから、プレイ復帰に向けてやらなくちゃいけないことが沢山ある。
その過程にアナタはいらない。」


この1か月で知った事。
翔くんは、全日本の強化選手だ。
復帰すれば、海外遠征もあるって話は聞いてる。

でもなんで?
どうして……?


「翔くんがおかれている状況はわかってます。
…でも、どうして咲さんに言われなくちゃいけないんですか?」



「アナタから、翔を突き放して。
退院したら、ここには来ないで!

…って。

アナタだって、翔の未来をつぶしたくないでしょ?」


なぜこの人に
私たちのことを決められなくちゃいけないのか……


泣いちゃダメ。
そう思えばおもうほど、かってに涙が溢れ出てくる。









「何してるんすか、咲先輩」