ラベンダー畑おぼえてる?

「麻理ちゃんだよ」

「いいや奈緒だよ」

「麻理ちゃん!」

「奈緒!」


 二人の口調は次第に強く大きくなり、いつでも一触即発。しかし、二人はさっきの経験を思い出したみたいで互いに制御。


「あ……のさ、麻理ちゃん。るいの近くに行ってみようか?」

「そうだね。るいちゃん捜すのに一生懸命だからわかっていないんだよ」


 奈緒と麻理は不自然な笑いで自身を落ち着かせる。だがその笑い方は明らかに不自然。


「奈緒、余計な一言言ってるいちゃん怒らせそうだから黙っててね」

「おだまりって事?」

「……今オダマリって言ったでしょう?」


 奈緒はしまったと言わんばかりの顔をし、慌てて口を塞ぐ。


「べ、別に気にしてないから。奈緒のウザ子ぷりはわかっ………」


 口を滑らした麻理もしまったという顔になった。