秋の過ごしやすさは、まるで木枯らしが風でさらったようにはすっかり寒くなり、その寒さは身体だけではなく、心にも届くほど身に染みた。






「行ってきます〜」


 元気なく玄関から出た小島るいは、わずか1分ほどで歩くのが嫌になった。


「あ〜あ、学校行きたくない」


 マフラーを巻き、学校指定のコートを着て、寒さで身を縮こませながらるいは学校まで歩く。

 周りの木はすっかり葉が落ち、歩いている人達も元気が吸い取られたかのように暗い。


「厚着嫌だな〜、冬って本当に最低〜」


 冬の風はその言葉に怒ってか強い風が吹き、るいは寒さのあまり歩くのを止めた。


「もー、髪ボサボサじゃん!冬のバカ!」


 セミロングの髪を整えたるい、ふと周りを見ると大声に呆気にとられた人々がるいに注目し、恥ずかしさのあまり場から逃げるように走った。