ラベンダー畑おぼえてる?

「る………、るい」

「雅明……、ごめん二人は先に行ってて」


 奈緒とあかねは先に教室に入り、先ほどまでちらほら人がいた廊下には、二人以外誰もいない。


「どうしたの雅明?」

「いや………、受験どう?オレは受験しないから……さ」

「勉強よりも奈緒が地獄かな。今日もメール来るし」

「お前らの仲、よく続くね」

「話はそれだけ?私、勉強しないといけないし……」

「……うん、悪いね」


 るいは少々疑問に思いながらも教室に入る。教室は相変わらずシャーペンの音が響く。


「・・・・・」


 るいは何かを諦めたかのように席に着き、年季の入ったようなボロくなった参考書を開いた。


「ふぉーい、授業だぞー」


 教室に入って来たのはすすきの野田という愛称の、るいの担任野田蛍がだるそうな声を出し、今日も授業が始まった。