ミクは俯いていて、男からは表情が見えない。
彼女を隠すように、髪はミクの顔を覆う。それはまるで、目が眩むような光から彼女を守っているようだ。

男の心中はちゃんと言ったという達成感に近い満足感が支配しており、明らかにミクの様子が可笑しいのにも関わらず、それが伝わらない。


「なっ、ミク」

「……、………そう、ね」


彼は女の返答にまた笑みを浮かべる。だが未だに彼女は、俯いたまま。


(あぁ…)


女は目を瞑る。


(オワッテシマッタ)


ミクの瞳には、もう晴れることのない闇が広がった。