「…面白いこともあるもんだな。アタシの存在に気付いたのはコイツが初めてじゃないか? なぁ、ミク」
彼女しか存在しない公園で、ひとり喋るミノ。端から見たら頭が可笑しな人間だが、そうじゃない。
つぅ、目から温かな水が流れる。
『…ヒック、う、あっ……』
頭の中に直接女の甲高い泣き声が届く。
「……また泣いてんのか、ミク」
どうやら直接頭の中に響く声はミクのものらしい。その泣き声に嫌そうにミノは顔をしかめるが、彼女の目から涙が止まることはない。
涙は面に出て来ており、ミノは泣くつもりが無くともミクが泣くせいで勝手に溢れてくる。
ミノは不愉快そうな表情を浮かべ、次から次へと零れる水を思いっきり拭う。


