気温も毎日30度を越す真夏日が続いている。



「暑い」



でもそんな暑さをも吹き飛ばしてくれそうな事実に、口許がニヤけてしまう。


周りに怪しまれそうで、口許を右手で覆った。


左手は自然とお腹を触っていた。


どうしよう……


嬉しすぎる。


早く優太に伝えたくて、足早にアパートへ帰った。


でもよく考えたら、慌てて帰っても、優太が帰ってくる時間はいつもと変わらない。


そんな自分の行動に苦笑しながらも、夕食の準備を始めた。






「ただいま」



そんな声に、いつもよりもテンション高く玄関へとむかう。



「優太、おかえり!」


「絢華、ただいま」



そう言って、いつものようにキスをしたあと



「テンション高ぇな。なんかいいことでもあったのか?」


「ふふ」


「なんだよ」



優太は眉間に皺を寄せながら、靴を脱いで部屋へ続く短い廊下を歩く。


部屋に入ったとたん……



「なんだ?やっぱりなんかあったのか?」



テーブルの上に並べられた、いつもより豪華な食事に優太は目を見開く。



「ふふ」


「もったいぶらずに早く言えよ。気になんだろ?」