慌てて部屋へ行くと、優太がベッドに寄り掛かって座っていた。



「優太っ!」


「おー絢華、誕生日おめでとう」


「ありがとう!」



視線が絡んだ瞬間、優太は目を見開いた。



「おまっ、……髪乾かしてこいよ。風邪引くだろ?」


「だって、一分でも長く優太と一緒にいたいんだもん。乾かしてる時間がもったいない」



口を尖らせながら言うと……


優太は“はぁ…”と息を吐いて、



「ドライヤー持ってこいよ。俺が乾かしてやる」


「ほ、ほんとに!?」



なんか、信じられないことを言われた。


こんなこと言われたことも、してもらったこともないもん。



「早く持ってこい」


「うん!」



ウキウキする胸を押さえながら、慌てて部屋を飛びだして、脱衣場にあるドライヤーを手にとって、また階段を勢い良くあがる。


部屋に戻ると……



「はやっ」



とビックリされた。


優太に手渡すと、ほんとに乾かしてくれた。


優太の指があたしの髪をすくように触ると、頬が熱くなってどきどきと心臓が動き始めた。


乾かしてる間はずっと優太を感じていた。


最近は触れてくることが少なくなったから、ほんとに幸せな数分間だった。



「よしっ!終わり」