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誕生日当日、みんなと勉強はせずに、真っ直ぐ家に帰ってきた。


優太が来るのは、部活が終わってからだから、とっくに日が沈んでからなのに、ソワソワして早く家に帰りたくなった。


勉強していても手に付かないし、何をやっていても失敗ばかりで……


だから……



「おばあちゃん、お風呂わいてる?先に入ってくる!」



バスタブいっぱいにはったお湯に身を沈める。


今日は誕生日だから、少しくらい我が儘を聞いてくれるかな。


『キスしたい』って言っちゃおうかな。


思春期の男の子の頭の中って、そういうことでいっぱいなんだと思っていた。


優太は考えたりしないのかな。


あまりしてこないってことは、考えてない?


だとしたら……


あたしから言ったら、引いちゃうかな。


でも、……優太とキスしたい……



いろいろ考えていたら、ずいぶん長く入っていたみたいで、お風呂から出ると、おばあちゃんから優太がもう来てることを教えられた。


優太が来る時は一分でも長く一緒にいたいのに!