井口くんは同じバスケ部だったし、優太のことは知っている。


付き合ってることも知っているけれど、うまくいっていないことは、……たぶん知らない。



「たぶん30分くらいのデートかな」


「30分!?何だそれ」


「優太先輩、忙しいもんね」



眉に皺を寄せながら言った杉浦くんの言葉に、菜摘が軽くフォローしてくれる。



「うん、会えるだけで十分」


「でも須藤はすげぇよな。あの優太先輩の心をゲットしたんだからさ」



井口くんは、優太に憧れていたって言っていた。


優太は、男女問わず人気があったからな。


高校でも人気があるんだろうな。


ちゃんと彼女がいるって、言ってるのかな。



あ……


もしかして……


他に好きな子ができたんじゃ……


だから、あんまり会えないとか言っているのかもしれない。



ヤダ……


こんなこと考えたくない。


あたしは優太のことを、信じてるもん。