「喧嘩してたわけじゃないんだよね?」



喧嘩するほど会っていなかったし。



「うん、……紗羽にこんな話するのはちょっぴり恥ずかしいんだけどさ」


「ん?何?」


「我慢できなかったんだって」


「我慢?」


「うん、あたしといると、抱きたくてしょうがなくなるから、距離をおいたって。……結局、大切にされてただけだったんだけどさ」


「……」


「ちゃんと腹割って話して、優太に抱かれて、……今はもうただ愛されてるって感じてる」


「なんか、あたしには難しい」


「そう?」



でも今は、あの時があったから今があるのかな……とも思う。


これからずっと優太と一緒にいられれば、あたしはそれだけで幸せだから。








あたしが部活、バイトに忙しくしている間に、優太は就職活動をしていて、いつの間にか内定をもらっていた。


その会社では車の免許がいるらしく、優太は自動車学校へ通い始めた。


それからバイトもし始めて……


まあ部活がなくなったら、放課後はやることがないし、暇を持て余すもんね。