ホールに入ると、みんな興味本位で、用もないのに優太に声を掛けたりしてるし……


優太も、あたしのバイト先の人だからか、笑顔で優しく接してるし……


ちょっぴりジェラシー。


そんな時はできるだけ見ないように、他の人の接客をする。


一時間ほど経ったら、「あとで迎えに来るから」と言って優太は帰っていった。



同じ空間にいるのに……


あたしは言葉を交わすことができないのに、他の人と笑顔で接している優太を見ていると……


胸が苦しくなった。


あたしって、凄くやきもち妬きなんだ。






「お疲れさまでした」



ようやくバイトを終え、帰る準備をして、裏口から出ようとすると……



「絢華ちゃん、お疲れ」



と声がかかった。



「あ、お疲れ様です。隼人さんも今あがりですか?」


「ん、今日は大騒ぎだったな?」


「大騒ぎ?」


「絢華ちゃんの彼氏が来てたんだろ?」


「うん。凄く目立つ人なんですよ」


「そうみたいだな」



優太はどこにいても、何をしていても……


背は高いし、あの容姿だし……


凄く目立ってしまう。


そんな優太の姿を、思い浮かべていたら……



「あっ!」



忘れてた!



「な、なに!?」


「彼氏が待ってるんだった。もう行きますね」



そう言って、隼人さんに背中を向けると……



「俺も外に出るよ」



と言うので、一緒に裏口から出た。


そしたら、やっぱり優太は自転車置き場で待っていた。