あたしが中学に入ったばかりの頃、おばあちゃんの友達が家に来た時に、二人で話しているのを聞いてしまった。


温泉に誘われていたおばあちゃんは笑いながら



『温泉なんかより絢華が大事。絢華を置いていったら、私が楽しめないよ』



って言っているのを聞いて、涙がポロポロと溢れてきた。


あたしを大切に想ってくれていることが、凄く嬉しかったんだ。


でもあたしのせいで、おばあちゃんは行きたいとこにも行けず、やりたいこともできないままこの年になったんだと思ったら、涙が止まらなかった。


そんなことを思い出していたら、また涙が出てきて……



「だからね、これからは、おばあちゃんにもやりたいことをやってもらいたい。あたし、やっと高校生になったし、おばあちゃんが泊まりで出かけても大丈夫。あたしはもう一人で留守番してても、安心できる年でしょ?」


「違う意味で安心できなくなってんじゃねぇの?まあでも、そんな時は俺が一緒にいてやるよ」


「うん。……それから、バイトもしたい」


「バイト?」


「うん」