「盛り上がってんなぁ」



いつの間にか優太が横に立っていた。



「あ、終わったの?」


「ん、そういや、足は大丈夫だったのか?」


「うん、もう大丈夫みたい」


「そっか。……つか、何を盛り上がってたんだよ?」


「えっ」



ずっと優太とのことを聞かれていただけなんだけど。


なんて言おうかと頭を捻らせていたら、先輩が嬉しそうに口を開いた。



「絢華ちゃんに、二人きりになると藤本さんって、どんな感じになるのか聞いてたんですよー」



確かに、聞かれたけれど……


本人を目の前に、そういう話題はちょっぴり照れるかも。


そんなあたしの気持ちとは別に、優太は興味津々にあたしに問いかけてきた。



「絢華はなんて答えたんだよ?」


「……“優しい”って答えたよ」



先輩に言ったことをそのまま応えたけれど……


凄く恥ずかしい。


でもほんとは、言いたいことはもっといっぱいあるんだ。


だけど、もったいなくて話したくない。






帰り道、



「最近の絢華、二年の子に可愛がられてるみたいだな」


「うん。よくしてもらってるよ」


「そっか、……あれから何もないんだろ?」


「うん」



“何も”……


嫌がらせのこと。


優太はあれから毎日のように気に掛けてくれている。



「今日さ、俺のアパートに泊まらねぇ?」


「え?」



泊まる?


優太のアパートに?



「うちじゃダメなの?」


「まあ、絢華んちでもいいけど」



渋々、なのかな?



「なんかあるの?」