少し走って、空き家に入った。
信二は私の腕の応急処置をする、と言って布とそこらへんにあった木の枝を取ってきた
木の枝と私の腕を合わせると布できゅっと縛ってくれた。
少し痛みが走ったが、騒ぐほどのものでもない。
素直にお礼を言うと信二は返事の代わりにニコっと笑った。
信二は気を利かせてか、なぜ襲われていたのか。などとは一切聞かなかった。
「おまえ、名前は?」
突然の問いに私はきょとんとする。
名前…?
天の使いの私には名など…
「ぜ、零…」
「零?それがお前の名前?」
コクンと頷く。
名前なんて無いから番号だけ言っといた。
人間と接するのは始めてで緊張する。
天界で教わった事は
「人間を敬え」
失礼がないように振舞おう…
そう思ったが、途中でやめた。
どうせ捕まる身なのだ。
どう接しようが、私には関係あるまい。
「しんじと言ったな?」
「お?おう」
「おぬし。一週間だけ、私と行動を共にしてくれないか?」
さっきまで黙りこくってた私の態度の変化と
突然の頼みごとに信二はビックリして口が開いている。
「一週間だけでいいのだ。さっきのように天人から私を守ってくれれば良い」
もちろん、命の保障はしよう。と付け足した。
すると信二は満面の笑顔でOKしてくれた。
まるでワンコのような少年だ。
小動物を見ているようで気分が落ち着く。
「お前のこと、バッチリ守ってやるぜ!零!」
あ…この笑顔…
この曇りの無い笑顔は私が以前恋した"ララ"に似ていた。
胸がツキン、と痛む。
