何時間歩いただろう。
真っ青だった空は、いつしか黒く染まっていた。
黒い空に点々と光る星は、言葉に言い表せないほど綺麗。
消えそうで儚い星を掴むように手の平を夜空に向ける。
ココは…地球…?
地球特有の青い空に白い雲。
よく天界から眺めては、母上に行きたい。行きたい。とワガママを言って困らせていた。
「母上…元気かなぁ…」
ため息のように、ポツリと呟く。
「ぅわぁ!!」
空を見がら歩いていると誰かとぶつかった。
謝ろうと思って見上げると
そこには天人が冷たい瞳で私を見下ろしている。
「…天の使いNo.零…だな?」
うかつだった。
地球にまで探しに来るとは思っていなかったのだ。
「あっ…!待て!!」
私は無我夢中で天人から逃げる。
でも翼はボロボロで飛べやしない…
捕まるのは時間の問題。でも本能的に感じた「恐怖」が私の体を突き動かしていた。
捕まりたくない捕まりたくない捕まりたくない!!
血だらけになった足は麻痺してもう痛みも感じない。
捕まりたくない一心で走り続けていた。
「No.零!己は犯してはならない罪を犯したのだ!罪を認め、十字架に体を捧げよ!」
天界での決まり。
それは"罪を犯した者は十字架に体を捧げなければならない"
それだけは避けたかった。
でも私の体力は底をつき、呆気なく天人に捕まってしまう。
残った力すべてを使い、天人の手から逃れようと暴れる。
精一杯暴れているのに天人はビクともしなかった。
「っヤダ…!」
「貴様!珀王様に逆らうのか!?」
「わた…っ私は…!何も悪いことなんてしていない!!」
ただ……妖を…愛しただけじゃないか…!!