ココは…どこだろう…


"天人"から逃げる事に必死になって、逃げついた先がどこか
私は把握できずにいた。

千切れた羽。
こんな醜い姿じゃとても"天使"だなんて呼べない。

「もぉ…天使じゃ…ないんだけどさ」

無気力な足取りで
どこだか解らない裏路地をトボトボ歩く。


視界もだんだん霞んできた。


きっと今、"天界"じゃ大騒動だろう。


帰る場所が無い。
相談できる友人も居ない。

愛する人にも裏切られた。

これ以上、生きている意味なんてあるのか…?


そんな事しか、今は考えられない。

何も考えたくないはずなのに
考えずにはいられない。

足を止め、ジッと心臓を見つめる。


ドクン。ドクン。と脈打つ心臓を恨めしく感じた。

止まらないかな___


今すぐにでも死にたいが自分では死ねない。

怖くない、と言えば嘘になるか。


だが怖い怖くない以前に、自分で自分を殺せないのだ。

心臓はココにあるが、ココに無い。


『本当の心臓』は"珀王様"が管理しているのだから…。


だから今、私の胸で脈打ってる心臓は仮心臓のようなもの。

コレだけ潰しても、痛いだけで私は死ねない。



憎いくらい真っ青な空をただただ睨んだ。